フジサンケイリビング総武・常磐編集部京葉散歩 3 船橋市第一書林資料出版室1974.5
三田浜塩田は楽園に

三田浜楽園は「楽園」の名が示すように、昔は割烹旅館のほかに遊園地があり、小動物園や有料のプールなどもあった。現在、市役所の立っている辺りはちょうどそのプール跡である。この楽園の土地一帯は古くは有名な三田浜塩田になっていた。
三田浜楽園ができてから、今は亡きノーベル賞作家の川端康成が若き日にここに遊んで、のちに短編小説「童謡」(昭和十年)を描き、その舞台にした。それによると「長い廊下を持った割烹旅館の主人公の部屋では、窓からカレイやボラや鰻が釣れ、枕の下は本当に海水で磯の香りが強かった。」と書いている。
三田浜楽園入り口の竜宮門から北に出ると右手に玉川旅館があるが、これは楽園ができる以前は街の最南端にあった粋な建物で、東京方面からの客も多かった。

面影を残す遊廓の町
お女郎地蔵と官庁街