日本温泉協会温泉 41(8)(462)日本温泉協会1973.08
九重京司稲取温泉どんつく祭特集 温泉地のまつり

P.20~21

この地には、ほぼ2000年前の弥生時代中期から先住民がいて、その頃すでに原始信仰の山神神社が祭礼され、男根形が奉納されたらしい。
江戸時代にはいって稲取の地で「赤はら」と呼ばれた赤痢が猖獗(しょうけつ)極めたので、生命力の脈打つ勇ましい男根の精気溢れる威力によってその悪疫や邪悪を追放するべく、天狗の面をかぶった若者が、大きな木製男根を持って民家を一軒一軒回り、凄い声を上げて家の表から入って裏へと抜け、邪気を追い出す風習が生まれたのである。しかもその男根を祝い棒として女性の腰のあたりを前や後ろから突き、生殖妊娠を合わせて希求した。素朴な住民は、「お面さんが来た」と有難がり、微塵もも猥雑感など抱かなかった。
この神事を観光客誘致の「どんつく祭」として年中行事化したのは前稲取観光協会の佐藤仁志氏の着想だが、「どんつく」とは女性の尻をどんと突くの謂い(いい)であり、絶妙な命名である。

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伊豆稲取(どんつく祭り)長さ4.5m、直径75cmは世界最大。