川副秀樹江戸東京庶民信仰事典国書刊行会2025.2
鬼子母神

P.112
鬼子母神は、日蓮宗の寺院に祀られることの多い女神。かつては人の子を捕って食う、恐ろしい外道の鬼女だった。一方、本人は、都合千人の子を次々と産み、その末の子を溺愛した。そこで、釈尊はその子を隠し、気も狂わんばかりに悲しむ鬼子母に、人の親の悲しみも同じであることを論した。改心した鬼女は、人の子の守護神になったという。
釈尊は柘榴の果実を鬼女に与えたといわれているが、柘榴は子(実)がいっぱい詰まった子宮の象徴で、子だくさんを意味しているものである。
雑司ヶ谷の法明寺境内には、鬼女時代の恐ろしい面影の像が建っている。

子宝大黒

港区麻布の大黒坂を上ると、一本松の手前右手に大黒天の幟が立つ大法寺がある。子宝大黒は本堂内に祀られていて、三つの米俵に跨っておられる。一般の大黒は米俵2つだから、真ん中の1つは男性のシンボルということらしい。大黒天には子授けの神、性神としての信仰もあるのだ。