川副秀樹江戸東京庶民信仰事典国書刊行会2025.2
トルハルバン

トルハルバンとは「石で作ったおじいさん」という意味で、韓国済州島のシンボルとも守り神ともいわれる。荒川区には約8000人の済州島出身の韓国人が住んでいるそうで、その関係から荒川区と済州市友好都市になっている。この石像は平成18(2006)年に済州市から荒川区に寄贈されたもので、荒川区役所の前庭(荒川公園)に立っている。
右手を上にした方が文官。左手が上の方は武官といわれている。この像には厄除け、疫病除け、平和をもたらす、などの御利益があるそうだが、子どもを望む女性が像の帽子と鼻を撫でると男の子、耳と口を撫でると女の子を授かると言われている。子授けのご利益があることから、トルハルバンが男性器をモチーフにしていることは間違いないようだ。

小那姫の二十腹(原)霊神

小那姫とは出雲国松江藩主で豊臣秀吉の小姓だった堀尾茂助吉晴の次女。小那姫は婦人病に苦しみ、二十歳の時、水中に身を投げたという。

立石大神

P.126
世田谷区喜多見の氷川神社境内には石棒が祀られている。付近から出土したもので立石大神(たていしおおかみ)と呼ばれている。

鬼子母神

P.112
鬼子母神は、日蓮宗の寺院に祀られることの多い女神。かつては人の子を捕って食う、恐ろしい外道の鬼女だった。一方、本人は、都合千人の子を次々と産み、その末の子を溺愛した。そこで、釈尊はその子を隠し、気も狂わんばかりに悲しむ鬼子母に、人の親の悲しみも同じであることを論した。改心した鬼女は、人の子の守護神になったという。
釈尊は柘榴の果実を鬼女に与えたといわれているが、柘榴は子(実)がいっぱい詰まった子宮の象徴で、子だくさんを意味しているものである。
雑司ヶ谷の法明寺境内には、鬼女時代の恐ろしい面影の像が建っている。

子宝大黒

港区麻布の大黒坂を上ると、一本松の手前右手に大黒天の幟が立つ大法寺がある。子宝大黒は本堂内に祀られていて、三つの米俵に跨っておられる。一般の大黒は米俵2つだから、真ん中の1つは男性のシンボルということらしい。大黒天には子授けの神、性神としての信仰もあるのだ。