矢田山聖子坪内逍遥の妻 大八幡楼の恋作品社2004
P.10 逍遥は、大学時代の同級生に誘われて、根津遊廓のなかでもひときわ格式のある権現裏の大八幡楼(おおやわたろう)にあがった。ここで逍遥は花紫と出逢う。逍遥は花紫を一目見て、あまたの遊女たちと違う、化粧、虚飾の底に光る凛とした何かを感じた。 この日以来、逍遥は、根津・大八幡楼へ足しげく通い始める。明治十九年、花紫の年季が終わることになって、逍遥と花紫の三年越しの恋路は結実する。ついに掛川銀行頭取であった永富謙八の好意によって、明治十九年十月二十二日に、ふたりは正式に結婚した。

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