三輪信一: 鯖江今昔 (鯖江今昔刊行会,1981)

P.159-P.161
廓まち「弁天物語」
江戸時代中期に鯖江藩ができて武士や用人たちをはじめ、本山参りの人々も集まった。街道沿いなので、町は栄えだし、しかも、本山から東へ河和田街道を入ると、こんこんと清水の湧き出る弁天さまの境内には、夜な夜な弁財天のような美しい夜鷹が出没するのでにぎわいだした。これは風紀上から良くないとそのわずか東の清水町の外れの今の柳町の一角に通称「弁天」と呼ばれる鯖江の遊女街が造られた。
この弁天を取り仕切っていた市橋楼主二代目の小三郎夫妻にその華やかだった弁天時代を聞いてみた。初代の市橋さんは福井からきた人で若い衆や女たちが沢山いた。角力界の勢力家”鯖江山”といって、芸能界を牛耳る”弁天座主”でもあった。