渡辺憲司: 国文学 : 解釈と鑑賞 70(8) (至文堂,2005.8)江戸遊里残滓行--泪橋から泪橋へ

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駅西口のすぐ近くには、千住の投げ込み寺と呼ばれる金蔵寺がある。本尊は閻魔大王。境内左手に地蔵を挟んで石造の大きな供養塔が二つある。右側の無縁塔は、天保の飢饉の犠牲者のためのもの。隣にある「南無阿弥陀仏」と正面に記された遊女供養墓の台石の四方には遊女の戒名が所狭しと、ぎっしり記されている。繁栄の当時36軒あったという。正面右から、最初が大黒屋、ここは本店と出店があった所のようで、刻印された名前は一番多く23名、「花月信女」「紅浄信女」などの遊女と思われるほかに、<信士>などもあるから、妓夫も交えているのであろうか。次に多いのは、中田屋の19名である。塔身は明治14年に再建されたものであるが、遊女の名前が記されている台座は享保12年のものである。

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