池上真由美江戸庶民の信仰と行楽同成社江戸時代史叢書 ; 13同成社2002.4
第三章 江戸庶民の近郊行楽地
第二章 江戸庶民と大山詣

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老舗の大店を中心にその出入りの人々が一体となって大山信仰をしていた例もある。老舗呉服店に出入りする和服の仕立ての仕事を中心とする諸職人(仕立て、染物、 刺繍、洗張加工等)の職人の講である。老舗呉服店は現在の上野松坂屋で、出入りの人たちで作った講は藤栄会という名前で現在も続いている講中である。松坂屋と大山との関わりは宝永4年(1707)、松坂屋の前身が上野に店を構えた時に、敷地内にすでに大の神が祀られていたために、大山に人を派遣して商売繁盛を祈願させたのがその始まりだという。