こうふ開府500年記念誌編集委員会甲府歴史ものがたりこうふ開府500年記念誌甲府市2019.4
芝居が甲府にやってきた
城下の料理屋街
いとお菓子
老舗の鰻屋さん

甲府最後の鰻屋
土橋南側の黒駒屋佐兵衛は明治時代に黒駒楼と改称し、現在も同じ場所で営業を続けています。創業は江戸時代の後期といいますから、営業期間は実に200年を超え、現存する鰻屋の中では甲府最古です。黒駒楼は空襲で焼失してしまいましたが、終戦直後からバラックで営業を開始しました。昭和35年に再建した店の2階大広間には見事な松を描いた舞台があり、宴会に若松町の芸者さんを呼んで賑わった往時を、今もしのぶことができます。

寿司屋の伝統

明治30年創業の魚そうの寿司は大きな握りや太巻きの形に江戸時代の雰囲気を伝えていることでよく知られています。甲府の寿司屋には師弟関係でいくつかの系統があったようですが、魚そう本店初代小澤創吉や新大黒すし初代塚脇赤太郎などが修行したという伝承をもつのが、平成27年(2015)2月に暖簾を下ろした大黒すし(城東一丁目)です。東京の寿司屋で修業した創業者の雨宮善七が三日町一丁目に屋台寿司を始めたのは明治11年と伝えられるので、137年もの歴史を刻んだことになります。