徳田秋声縮図岩波書店1971
釜飯屋の場面P.162岩波書店1971
P.184 話がはずんでいるところへ、今日も罐詰屋の野良息子が顔を出し、ちょっとふてぶてしくも見える青年が、壁ぎわの畳敷きにあぐらを組んで葉巻をふかしているのを見て、戸口に躊躇した。彼はなんという目的もなく、ただ銀子が好きで、分寿々廻家へもひょこひょこ遊びに来、飯を食いに銀子を近所の釜飯屋へ連れ出し、にやにやしているくらいがせいぜいであった。

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石巻(割烹「滝川」)「縮図」のモデルの釜飯屋。