新人物往来社江戸史跡事典 上巻千代田区・中央区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区・北区新人物往来社2007
十軒店

旧西町と旧本町三丁目の間にある通りは、往時、「十軒店」と呼ばれていた。ここは江戸期の仮設専門店街であり、節句の人形などを扱う仮店舗が一カ所に集中していた。当初、同業者が十軒あったことから、このように呼ばれるようになったとも言われている。
十軒店の仮設店舗は時代を経るごとに増えてゆき、寛政2年(1972)には、40軒をも数えたという。

高尾稲荷社
P.95 (日本橋箱崎町10-7) 万治2年(1659)12月のことだったという。かつて吉原の三浦屋で評判だった才色兼備の遊女、高尾大夫が、三股中洲(日本橋中洲)近くの川上で殺害されたという。高尾は仙台藩主の伊達綱宗の寵愛を受け、吉原から身請けさらたものの、意中の人物への思いを捨てず、綱宗になびかなかった。これに怒った綱宗は船中で高尾を吊るし切りにし、遺棄したという。 高尾の身の上を哀れんだ町人たちが、社を建て、その霊を祭ったと伝えられ、これが高尾神社の縁起と伝えられる。