潮来市郷土史研究会ふるさと潮来 第5輯潮来市郷土史研究会1980
潮来弁天余話

茨城県潮来土木出張所の北方、国道51号線を横切り、狭い田んぼを超えた海抜20mほどの台地の南端中腹に安芸の国から勧請した弁財天が祀られている。弁財天には信仰の証として「男がめ」、「女がめ」と言って大小さまざまなたくさんの土製の「かめ」が奉納されている。弁財天のおつかいが蛇であるからそのすみかにするために「かめ」を奉納するのだそうである。戦前まであった大きな「男かめ」と「女かめ」も芸を競った二人の潮来芸者が、願いが叶って奉納したものと言われている。潮来弁天は商売繁盛と芸達者、それに美人になることをお祈りし、特に江戸時代から加害に関係のある女郎や芸妓たちの信仰の中心であった。