堤康次郎苦闘三十年三康文化研究所1962
黄金は花ざかり

P.46
その頃農村は食糧増産に懸命な努力を続けながら肥料不足に困っていた。戦争は、今まで使っていた化学肥料を取り上げてしまった。昔の農業にかえって下肥(しもごえ、人間の糞尿を腐熟させ、肥料としたもの)を使えばいいわけだが、そうするには人でもなければ車もない。始発駅に糞尿タンクをこしらえ、石油タンクのような糞尿車を作って輸送し、終着駅に大きなタンクを作る。糞尿車のバルブを開ければ、モノはタンクに落ちる。これを農村に渡す。