上村敏彦: 東京花街・粋な街 (街と暮らし社,2008)

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根岸の三業地が許可されたのは大正10(1922)年のことで、地元の矢野弦吉、伊木勝太郎ら数人が尽力し、2000坪の指定地開設にこぎつけた。周りは寺町で名所といえば御行の松くらいで、上野池之端や下谷の花街は上野のお山や不忍の池があったが、根岸は景色を眺めながら遊ぶ場所ではなかった。むしろ通人の隠れ家遊び場所として流行った花街であった。
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客筋は根岸、金杉、坂本など近隣の旦那衆が多く、人力車で遊びに来る者もいた。
往時の面影を残す「浜本」という料亭だったお宅。