宮田珠己四次元温泉日記筑摩書房2011.12
伊豆長岡温泉N荘

P.183
N荘は、稀にみる豪奢な迷路旅館だ。
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渡り廊下を繋いでいけば一周できる構造になっている。廊下はずっと木造かと思えば漆喰塗りの石壁がトンネル状になっているところもある。N荘のクライマックスの宇平橋は赤い欄干を太鼓橋のように沿わせた渡り廊下で、小さな谷を渡るように架かっている。橋の名は、明治40年頃にこの宿を開業した創業者の名からとったそうだ。但し、橋ができたのは昭和13年。この建物をN荘と名付けたのは北原白秋だった。さらに、川端康成も大正の終わりから昭和にかけてたびたび滞在した。著作「伊豆温泉旅行記」に宿の名前が出てくるらしい。

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伊豆長岡(南山荘)明治40年頃に開業。豪奢な迷路旅館。