北総線矢切駅から徒歩10ほどの場所に、伊藤左千夫の小説「野菊の墓」の文学碑が建てられています。
伊藤左千夫は、農家の四男として生まれ、明治法律学校(明治大学の前身)を眼疾のため退学帰郷。再び上京して、二十五才のときに牛乳搾取業を開業し、その後、正岡子規に師事しました。そのときに詠んだ歌
牛飼いが歌よむ時に世の中の新しき歌大いに起こる
(身分が高くもなく雅な職業でもない牛飼い(牛乳搾取業を営む自分)が歌を詠むような世の中には、新しい歌がたくさん生まれる)には、左千夫の和歌に対する気概がこめられています。左千夫は、和歌のほか、歌論、新体詞、写生文、小説等があり、「野菊の墓」は、伊藤左千夫の処女作の小説です。*1
文学碑の前面には、「野菊の墓」*2 の一節が刻まれています。(物語のはじめ、3ヵ所の抜粋)
碑の裏面*1 によると、「政夫が民子を待った大きな銀杏の樹」は、この文学碑があった場所だそうです。